Strive Vol.25 HAN-KUN interview

HAN-KUN interview

(2007.4.15 発行 Strive Vol. 25 に掲載)
interview & text : Hodaka Mori [Strive]
photo : iGa-c

 湘南乃風の一員として活躍すると同時に、唯一無二のスタイルを持ったダンスホール・アーティストとして現場でもフットワーク軽く活動するHan-Kun。他のどのアーティストとも違うユニークな立ち位置に立ち、ゆえに大いなる可能性を持った彼にStriveならではのロング・インタヴューで迫った。

自分の思ってることを人に伝えられるっていうのが気持ち良くて

● レゲエを聴く前はどんな音楽が好きだった?
熱心に音楽を聴くようになったのは、レゲエがきっかけだった。それ以前は同じ中学の奴らと一緒にダンスをやってて。ヒップホップ(ダンス)とハウス(ダンス)。

● 踊る方のダンスだ。
そう。ダンス甲子園とかZooとかをヴィデオに録って真似したり(笑)。

● そこからどうしてレゲエに?
ダンス仲間の彼女が免許を取って、みんなでドライヴに行くことになって。その時に、その子が車の中でBuju Bantonの「Untold Stories」をかけたんだ。その曲に凄い持っていかれちゃって。

● 車の中で「Untold Stories」を聴いたってエピソードは、去年の11月に7インチでリリースした「Trust Me」の歌詞にも出てきてたね。
ちょっと言いたくなっちゃって(笑)。その時にNanjamanの「Born Japanese」も聴いて、頭の「昔サムライの……」ってフレーズが凄い突き刺さってきて。こんな、話しかけられてる様な音楽があったんだって思った。日本人のレゲエがあるってのも、その時に初めて知ったし。もう、その子の趣味に完全にやられちゃった(笑)。

● それは何歳のころ?
18ぐらいかな。

● それからイヴェントにも行くようになるって感じ?
それで初めて行ったのが茅ヶ崎にあったTing-A-Ling。V.I.PのBoy-KenとかShiba-Yankeeとかが出たイヴェントで、Chozen Leeも歌いにきてて。シング・ジェイっていうか歌っぽいDJをやる日本人を初めて観て、凄い衝撃くらった。

● そこから自分でも歌うようになるまでは早かった?
そのころはカラオケにレゲエの曲がほとんど入ってなかったんだけど、Boogie Manの「パチンコマン」が唯一入ってて。

● Answerだ。
そう(笑)。Answerのディ・ディディ……ってイントロが始まったら、レコードとかテープを聴いて覚えてきた歌をみんながそれぞれ歌って。「俺はNanjamanを歌う」「俺はRyo the Skywalkerを歌う」みたいな。

● オリジナルの歌は作らなかったの?
そのうちに友達の弟がサウンドを始めて、そのサウンドのイヴェントで俺もカラオケで作った1〜2フレーズとかを歌ったんだ(笑)。お客さんっていっても5〜6人の友達なんだけど、自分の思ってることを人に伝えられるっていうのが気持ち良くて。人前で歌うってことが。それからOutlawっていうサウンドの人が作った、地元のアーティストを集めたミックス・テープに参加させてもらって。そのテープを聴いた人から、「イヴェントに出てみない?」って話をちょっとずつもらえるようになってった。

● Red Riceと出会ったのはそのころ?
その初めて参加したミックス・テープに、Red Riceの曲も入ってたんだ。話をしてみたら、同世代で見てきたものも同じだったんで話も凄い合って。一緒にMurder Oneのイヴェントとかに遊びに行ってるうちに、2人ともイヴェントで歌わせてもらえるようになってって。DJとしての本格的なキャリアが始まったのはそのころかな。

いっていう思いと、それが上手くいかないっていう現実

● Han-Kunっていうのは当時のあだ名?
色々考えてみたりもしたんだけど、何か気負っちゃうし。DJスタイルとして自分の周りにあるような物語を話していきたいってのがあるから、ナチュラルな自分のままでいられるようにあだ名がいいのかなって。小学校の2年生ぐらいの時に隣の席の女の子が付けてくれたあだ名なんだけど(笑)。

● シング・ジェイってのは最初から意識してた?
DJとシング・ジェイとを分けて考えてはなかったんだけど、自然とそっちに目がいったっていうか。メロディー・ラインがあるDJとか、流れるようなフローとかが好きだったのかもしれない。もともとはBuju Bantonが好きだったんだけど、自分とは全然声質が違うから。最初のころは自分の声質に合った歌い方を模索してた。

● ターバンをしてるから、SizzlaとかAnthony Bも好きなのかなって思ってたんだけど。
好きだった。でもターバンはダンスをやってた時から巻いてて。その流れでレゲエのイヴェントもターバンしたまま遊びに行って。イヴェントで歌うようになって、名前は覚えてもらえないけどターバンだけは覚えてもらえるみたいな(笑)。だから巻き続けてたっていうか。

● その後、今の湘南乃風のメンバーたちと一緒に活動するようになるわけだけど。
その時期は日の目を見たいっていう思いと、それが上手くいかないっていう現実との間で葛藤してたころ。人から声をかけてもらうのを待ってるよりも、自分たちで制作したものを聴いてもらった方が早いんじゃないかって思ってテープを作って。若旦那が仲間に入ったってのがデカかったかな。今のメンバーで一緒に活動するようになったのは若旦那がきっかけだったし、最初にテープを作ろうって言ったのも若旦那だったから。いつか花を咲かせたいっていう漠然とした夢は持ってたけど、湘南・横浜のエリア内でくすぶってた部分が俺たちにはあって。明確なヴィジョンってのを立てようとも思ってなかったし、立てる方法も気付かなかったんだけど。

俺はそこで生まれたし、そこで生きてるってのを常に感じていたい

● 湘南乃風の名前の由来は?
そのころはグループってわけじゃなくて、Gokiを含めた5人がレーベル・メイトって感じだったんだよね。「湘南の風」っていうGokiの歌があって、それを第1弾のテープのタイトルにして。だけど、みんなでワンボックス・カーを買って地方へツアーに行くようになったら「湘南の風が来た」って言われるようになって。

● 最初はソロ・アーティストの集まりって感じだったんだね。
そう。テープを1弾、2弾と出していた時にそれを見ていた今のレコード会社の人たちが「自分たちのプロデュースでコンピを出さない?」って言ってくれて。だけど自分たち自身が歌いたいってのもあって、1人2曲作ったらそれだけでもう8曲。「それって別にコンピじゃなくない?」みたいな(笑)。だったら自分たちのアルバムを出させてもらった方が、より表現できるんじゃないかって思って。そのアルバムを作ってる時に、レコード会社の人から「4人で歌う曲って作らないの?」って言われて。4人でずっと動いてきた中で4人の曲ってまったく作ってなかったんだけど、その時に初めて作ったのが「Real Riders」と「Wild Speed」。その2曲を作ってる時に、4人でやった時の力強さや4人でやる魅力っていうのを感じて。4人で歌う曲もありつつソロでも歌えるグループでいこうってことになってった。

● グループでもソロでも勝負できるアーティストってこと?
生意気な言い方かもしれないけど、1人のDJとしても負けたくないってのが凄いあって。グループになったから1人では何もできないって思われるのは嫌だし。そういう姿勢は常に自分の中に持っていたいなと。

● 飛び入りでダンスに出たりっていうのもよく見かけるけど。
特に意識しているわけじゃないけど、純粋に現場が好きだから。そこから学ぶことが多いし、そこが本当の場所だって思ってる。俺はそこで生まれたし、そこで生きてるってのを常に感じていたい。

● リリックを書く時にこだわってる部分はある?
自分の言葉でってのは凄いある。癖とかも含めて、格好つけずにそのまま言っちゃいたい。最初に、Nanjamanの歌の話しかけられてる様な感じに衝撃を受けたから。その時から、レゲエってのは音にのせた聴き手との会話なんだなって自分で解釈してて。だから、自分でもそれを体現できるようになりたい。フックがあったりして歌なんだけど、それも含めて会話なんだなって思ってもらえるように。

俺がいる位置は、ちょうどその2つの真ん中

● 去年のツアーの様子を収めたDVDが先月出たけど、ツアーはどうだった?
たくさんの人に来てもらった喜びを感じつつ、戸惑いもあって。真っ白な人たちにものを提供していく難しさや、もどかしさがあるから。

● 例えば?
普通はすでに現場があって初めての人がいるから、初めての人が色々と覚えていく形。だけど今回は現場の人と初めての人の人口が逆転してたのかなって。初めて現場に行った時の自分のような人が多かったんだと思う。例えば「People, Are you ready?」って言われたら「Pow!」って言うとか、自分が初めて現場に行った時も分からなかったし。そういう人たちに「Han-Kunの歌を聴いてレゲエを聴くようになりました」とか「他のアーティストのイヴェントにも行って、もっとレゲエが好きになりました」とか言ってもらえるとやっぱやってて良かったなって思う。1人でも多くの人にレゲエやダンスホール・ミュージックを聴いてもらいたいってのは、始めたころからもともと持ってた気持だから。

● 目指すアーティスト像ってある?
1人のアーティストとしては、1つのスタイルにとらわれるんじゃなくて色んな要素を持ったアーティストになりたいと思ってる。プロデューサーの要求には確実に応えられるアーティストでいたい。湘南乃風のメンバーとしてはどんな役割があるのかなって考えた時に、ハードコアな部分とメジャー・フィールドの橋渡し役ができるのかなって思ってて。俺がいる位置は、ちょうどその2つの真ん中っていうか。2つの間に横たわってる壁を取り払うことができれば、死ぬ時にも後悔しないのかなって(笑)。それを、より広く問えるポジションってのを探していきたい。

● 今後トライしていきたいことは何?
湘南乃風やソロでも引き続きやりつつ、色んな人とコラボレーションしていきたい。他のアーティストの人たちに、「あいつの声が欲しい」って言ってもらえるようなラインを常に提供できるDJになりたいと思ってて。自分の魅力を発揮する手段としては、そういうのもあるのかなって。

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■ 湘南乃風’s Latest Release

DVD「風伝説 〜いつも誰かのせいにしてばかりだった俺Tour 2006〜」Toy’s Factory / TFBQ-18070
発売中

■ Han-Kun’s Latest Tunes

「Life」(V.A.『Miami Shine -Blast Star Di Blazing Fire-』に収録)
Universal Sigma/Island / UPCI-1060
4/25発売

「A Brave Man」(V.A.『Japan Reggae -Dancehall Of Fame-』に収録)
P-Vine/Wild Boar / PCD-25051
発売中

「Boom釈迦楽」(V.A.『Sunset presents Platinum Compilation Vol. 1』に収録)
Victor / VICL-62198
発売中


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